高齢者の音の聞こえ方とその影響

高齢者は、若い時と比べて音の聞こえ方がかなり違ってくる。若い時と比べて聞こえづらくなるのが、高音域の音だ。特に、電話の呼び出し音や電気器具などが発する「ピッ」という高い音が聞こえないと言う人は多くいる。そのため、若者が嫌がるモスキート音が聞こえないのは当然だ。

高齢者の聞こえ方は、小さい声は聞きづらく感じ、大きい音はうるさく感じるという特徴がある。さらには、音の違いが不明瞭になる事も観察され、同じような発音の別の単語と聞き間違える事も多くなるようだ。特に、カ行・サ行・タ行・バ行の音が判別しにくくなる事が報告されている。加えて、耳に入ってきた言葉を理解するまでに時間がかかるため、早口で話される事を苦手とする傾向がある。

高齢者は、聞こえづらい音やついてゆけない話のスピードがある事で、聞こえ以外の悪影響が出てくる場合がある。例えば、会話をしていても言葉が聞き取りづらかったり理解できなくなると、聞き間違いなどを恐れて人付き合いを避けるようになる場合がある。その事で孤独を感じたり、不安な気持ちになり、うつ病などの症状を引き起こす事もあるようだ。また、社会活動が少なくなる事で、認知症のリスクが高くなる。さらには特定の音域の音が聞こえにくくなる事で、警告音が鳴っていても気が付かず、危険を察知するまでに時間がかかる場合がある。高齢者の音の聞こえ方を理解し、その事に配慮しての会話や工夫が大切だ。今回で紹介した聞こえ方をはじめ、加齢による身体の変化を考慮した高齢者とのコミュニケーションのポイントが書かれた「どんな見え方?聞こえ方?高齢者の世界」も介護をする時の参考になるだろう。