様々な変化が起こる高齢者の身体。歩行が遅くなる他、腰や膝の痛みが出たり、筋力が落ちたりして歩行が困難になってくる事もある。また、背中や腰が丸くなって背が縮み高いところに手が届かなくなる事や、腕力や握力が落ちて重い物を持てなくなったり缶や瓶や袋の開閉が困難になる事もある。膀胱や肛門の括約筋が弱り、尿や便を漏らす事もある。これらの問題への対応策としては、身体の変化を受け入れて道具などを用いて生活上の支障を生じにくくさせる事と、訓練によって身体の変化を遅らせるという事を、同時に行う事が適切だ。
どんなに訓練しても、身体機能は衰えていく。そしてそのためにできない事が多くなるのは当然だが、あまりにもできない事が多すぎると、何もしなくなり、さらに身体の衰えが進んでしまう。また、する事がなく、社会性も失ってしまいがちだ。だから、手すりをつける、物の置き場を変える、尿漏れパッドをつけるなどして、身体が衰えても日常生活が送れるような物理的サポートをするのが適切だ。そしてそれにより、色々な事ができるようになるため、身体機能の低下を遅らせる事が可能となるのだ。
一方で、身体機能の低下を遅らせるための訓練も必要だ。体をやわらげたり、筋力を維持したりする運動を定期的にするとよい。
そして、これら2つの対策を同時にとる事で、高齢者の身体の変化を穏やかに受け入れ、かつその衰えのスピードも遅らせる事が可能となる。またそれによって、家族の負担を減らす事もできる。